TPP著作権問題の経緯

TPP著作権問題の経緯と、どのような議論がなされてきたのかを、時系列にまとめました。
このページは随時アップデートされていく予定です。

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2005年6月、TPP(環太平洋経済連携協定)がシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4か国間で経済連携協定として成立する。2006年5月に発効。

その後、アメリカ、オーストトラリア、マレーシア、ベトナム、ペルーが順次加盟交渉国として加わった。

2006~2007年、保護期間の延長問題と非親告罪化は、国内で最初の大きな論争を迎える。

2006年、いくつかの先人達の訴えを経て、延長に慎重論を唱える「著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラム」(thinkC)が、多くの有数のクリエイター・研究者・実務家によって結成される。

著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラム(thinkC)
http://thinkcopyright.org/

thinkC発起人一覧
http://thinkcopyright.org/list.html

2006年11月、第一回目の「著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラム」(thinkC)シンポジウム開催。

http://thinkcopyright.org/resume_symposium01.html

以後、フォーラムは多様な論者を招いて連続ネット中継シンポを行う。
(その際にまとめられた「賛成派・慎重派それぞれのワケ」では、その後の延長問題の論点がほぼ出尽くしている)

賛成派・慎重派それぞれのワケ
http://thinkcopyright.org/reason.html

各シンポ模様
http://thinkcopyright.org/resume_talk.html

2007年、著作権侵害の非親告罪化は、竹熊健太郎の指摘などが注目を集めた後、事態が本格化することなくいったん終息に向かう。

【著作権】とんでもない法案が審議されている(たけくまメモ)
http://takekuma.cocolog-nifty.com/blog/2007/05/post_b72f.html

著作権法における親告罪の在り方に関する議論のまとめ
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/013/07071010/003.htm

2008年、政府はthinkCの訴えを受けて文化審議会に略称「保護利用小委員会」を設置。

2008年10月、thinkCメンバー有志で「保護期間延長問題と創作・流通促進に関する共同提言」をまとめ、各ジャンルを代表する81名の賛同を得て、文化審議会及び文化庁長官・内閣官房知的財産戦略推進事務局宛へ提出。

保護期間延長問題と創作・流通促進に関する共同提言
http://thinkcopyright.org/proposal20081030.html

2009年、保護利用小委員会はthinkCメンバーも多数参加した闊達な議論の末、延長を事実上見送る報告を出して解散する(その後の「基本問題小委員会」も同様)。

著作権分科会 著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会
http://www.bunka.go.jp/Chosakuken/singikai/hogo/index.html

過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会 報告案(PDF)(平成21年1月付)
http://www.bunka.go.jp/chosakuken/singikai/hogo/07/pdf/shiryo_02.pdf

この間の議論は、同年の田中辰雄・林紘一郎編『著作権保護期間 -延長は文化を振興するか?』(勁草書房)にまとめられている。

田中辰雄・林紘一郎編『著作権保護期間 -延長は文化を振興するか?』(Amazon.co.jp)
http://www.amazon.co.jp/dp/4326503084/ref=cm_sw_r_tw_dp_J1b3ub1FGECET

「本の市場寿命」に関する研究。

丹治吉順「本の滅び方」(PDF)
http://thinkcopyright.org/tanji-book.pdf

2011年2月、米国有力NPOからTPP知財条項案(米国提案)が流出。

TPP知財条項案(PDF)
http://keionline.org/sites/default/files/tpp-10feb2011-us-text-ipr-chapter.pdf

これには「保護期間の死後70年などへの延長」「著作権侵害などの非親告罪化」「法定賠償金」「いわゆる3ストライクルール」「医薬品データ保護制度」他、多くの論点を含む条項案が盛り込まれていた。

TPPで日本の著作権は米国化するのか(Internet Watch)
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/special/fukui/20111031_487650.html

条文案抄訳(福井健策)
http://www.kottolaw.com/column/000438.html

2012年6月、非親告罪化を巡って、日本マンガ学会シンポジウムで恐らく初めて、代表的論者の赤松健氏と出版社、コミケ3者の視点を交えた公開討論が行われ、多様な論点が提示された。

日本マンガ学会シンポジウム
http://www.jsscc.net/taikai/12

ホントは怖いTPP…「非・親告罪化」で日本の漫画界はどうなる?(赤松健氏のエントリー)
http://kenakamatsu.tumblr.com/post/44592778197/tpp

2012年12月、TPP交渉が開催されているニュージーランドでEFF(電子フロンティア財団)が「Digital Rights Camp」を開催。世界中からデジタルと知的財産権に関する運動を行う組織が招待され、日本からはクリエイティブ・コモンズ・ジャパンとMIAU(インターネットユーザー協会)のメンバーが参加した。

Digital Rights Activists Gather in Auckland, New Zealand Next Week for the 15th Round of TPP Negotiations(Electronic Frontier Foundation)
https://www.eff.org/ja/deeplinks/2012/11/digital-rights-activists-gather-auckland-new-zealand

2012年12月、クリエイティブコモンズジャパン、MIAU、そして前述のthinkCで、 thinkTPPIP(TPPの知的財産権と協議の透明化を考えるフォーラム)が結成される。

thinkTPPIP(TPPの知的財産権と協議の透明化を考えるフォーラム)
http://thinktppip.jp/

同月、thinkTPPIPのキックオフ・フォーラムが開催される。

TPPの知的財産権と協議の透明化を考えるフォーラム(thinkTPPIP)緊急公開シンポジウム
『日本はTPPをどう交渉すべきか ~「死後70年」「非親告罪化」は文化を豊かに、経済を強靭にするのか?』
http://thinktppip.jp/?p=12

2013年より、政府TPP交渉説明会に知財関係団体が多数出席するようになるが、説明内容は守秘を求められる上、そもそも「知的財産は極めて対立しておりネックである」という以上の具体的な協議内容や政府方針が開示されることは、ほぼ無いに等しかった。

2013年3月~、赤松氏は文化庁主催シンポジウムや下記のthinkTPPIPシンポジウムにおいて同人誌創作と即売を認める「黙認のマー ク」を提唱し、話題を集める。クリエイティブ・コモンズ・ジャパンを運営するコモンスフィアに、明治大学知的財産権法政策研究所(中山信弘代表)や骨董通り法律事務所も協力し、「同人マーク」は同年8月から実際に運用が開始された。

「警察の萎縮効果狙う」 赤松健さん、2次創作同人守るための「黙認」ライセンス提案(ITmediaニュース)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1303/28/news093.html

「同人マーク」のデザイン決定のお知らせ(コモンスフィア)
http://commonsphere.jp/archives/320

2013年3月、保護期間延長を求める当の米国において、米国議会著作権局長マリア・パランテは、恐らく議会史上初めて、著作権保護期間の部分短縮などを提案。(ヨーロッパでも、著名なガワーズ・レビュー以後、同様の提案は続いている。)

マリア・パランテはかく語りき ―米国著作権局長による著作権法改正提言を全訳する(骨董通り法律事務所)
http://www.kottolaw.com/column/000527.html

背景には大規模デジタル化社会の到来で、長すぎる保護期間などの現行著作権法の制度疲労を指摘する声が高まったことが挙げられる。特に、探しても権利者が見つからない「孤児著作物(orphan works)」の問題は深刻で、保護期間の超長期化でそれが激増したと指摘される。

そろそろ本気で「孤児作品」問題を考えよう(Internet Watch)
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/special/fukui/20130312_591351.html

2013年5月、日本経済新聞にてTPP知財をめぐるまとめ記事が掲載される。

著作権延長、TPPで浮上「古典」格安販売に暗雲? 電子書籍や映画DVD
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO54918090R10C13A5TCJ000/

2013年6月、テレビ東京「ワールドビジネスサテライト(WBS)」にてTPP知財特集が放送される。
この時点での、保護期間延長問題に絞った経緯や問題点の解説は下記を参照。

著作権「死後50年」は本当に短すぎるか?」(Internet Watch)
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/special/fukui/20130618_603718.html

同6月、thinkTPPIP主催のネットシンポジウムが緊急開催される。

『日本はTPPをどう交渉すべきか 〜「死後70年」「非親告罪化」は文化を豊かに、経済を強靭にするのか?』
http://thinktppip.jp/?p=128

上シンポジウム動画(YouTube)
https://www.youtube.com/watch?v=OsmeGmy0WuU

TPP交渉、著作権保護期間延長や非親告罪化を阻止するのは国民の関心(Internet Watch)
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20130701_605885.html

2013年7月、TPP政府対策本部(内閣官房)への意見募集に対して、thinkTPPIPとして意見を提出する。

政府TPP対策本部への提出意見
http://thinktppip.jp/?p=437

2013月8月、青空文庫と保護期間延長問題への思いを遺し、thinkC発起人でもある富田倫生が死去。翌月には記念シンポジウムがおこなわれ、彼の志を継ぎ青空文庫を支援する「本の未来基金」の創設が発表された。

追悼イベント「青空文庫の夢:著作権と文化の未来」
http://honnomirai.net/report.html

富田倫生氏が抱いた「藍より青い」青空文庫の夢(本誌2013年9月26日付記事)
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/event/20130926_616972.html

2013年8月、日本劇作家協会が非親告罪化をはじめとする表現問題についての連続座談会を開始するなど、「著作権と表現の自由」を巡る議論は頻出トピックとなって行く。

TPP・児童ポルノ法をどう見るか?(日本劇作家協会)
http://www.jpwa.org/main/genronhyogen01

2013年8月、米国での運動の中心に立つEFF(電子フロンティア財団)のマイラ・サットンが来日。

TPPで「ミッキーマウス法」がやって来る? 福井健策弁護士と「電子フロンティア財団」マイラ・サットンさんの対話から(ハフィントンポスト)
http://www.huffingtonpost.jp/2013/08/20/eff_n_3783630.html

2013年11月、TPP知財を巡る議論の動きが見えない中、ウィキリークスによって二度目のTPP条文流出。保護期間延長での各国対立ぶりや、非親告罪化に反対する日本の孤立ぶりが明らかになった。

TPPウィキリークス流出文書~激戦区「知的財産」、主要11条項での交渉勢力図(Internet Watch)
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/special/fukui/20131126_625004.html

2013年11月、米国の80名を超える知財法学者らがオバマ大統領への公開書簡で知財条項の即時全文公開を求めた。

米国知財法学者らからオバマ大統領への公開書簡の全訳掲載(thinkTPPIP)
http://thinktppip.jp/?p=246

2013年12月、thinkTPPIPメンバーがTPPシンガポール交渉会議にNPOとして参加し現地記者会見も行った(本の未来基金が支援)。

TPPシンガポール交渉派遣(本の未来基金)
http://honnomirai.net/singapore.html

その他、2013年の関連記事はこちら。

著作権侵害の「非親告罪化」にTPP参加国の大半が賛成!? コミケに迫る危機とは?(弁護士ドットコムNEWS)
http://www.bengo4.com/topics/1070/

著作権「死後70年」「非親告罪化」TPP米国要求に日本はどう対応すべきかhttp://internet.watch.impress.co.jp/docs/special/20130724_608794.html

2014年7月、各国の有力NPOが連名にて保護期間の延長に反対を表明。

TPPによる著作権保護期間の延長に反対する国際共同声明の和訳公開と声明への参加の呼び掛け(thinkTPPIP)
http://thinktppip.jp/?p=383

2014年10月、三度目の条文流出が起きる。

Wikileaksが暴露したTPP知財条文案(栗原潔のIT弁理士日記)
http://www.techvisor.jp/blog/archives/5204

2014年12月、世界各国の有力NPO等がTPP協議の透明化を求める公開書簡を公表。

世界各国の有力NPO等による、最終局面を迎えるTPP交渉での透明性を求める公開書簡を緊急邦訳(thinkTPPIP)
http://thinktppip.jp/?p=476

2015年1月、文化資源戦略会議「アーカイブサミット」にて、孤児著作物問題の解決は主要なテーマのひとつとして取り上げられる。

アーカイブサミット2015
http://archivesj.net/?page_id=19

2015年2月、主要メディアは相次いで、「保護期間延長」「非親告罪化」において日本政府は受け入れの方向で交渉国と調整に入った旨を報じる。