「知的財産推進計画2014」へのパブリックコメント

2014年5月16日、(「知的財産推進計画2014」の策定に向けた意見募集)に対して、thinkTPPIPとして、下記の通りパブリックコメントを提出しました。


1.当フォーラムでは従来、提言(http://thinktppip.jp/?p=1)のようにTPP協議の透明化を訴え各種シンポジウムを開催してきた。TPPの厳格な秘密協議性には交渉各国においても依然として懸念が強いが、残念ながら知財分野を中心に改善は全く進んでいない。去る5月13日にも読売新聞が再び、「著作権保護期間の大幅延長で日米が合意した」旨を報じ、下村文科大臣が会見で否定する事態となっている。

秘密交渉を理由に社会各層との情報交換を忌避し続ければ、このような交渉に悪影響を及ぼす混乱は今後も必然的に起きよう。

2.当フォーラムは、TPP自体への是非に意見を述べるものではないし、悪質な海賊版への対策には従前から賛成している。

しかし、前記提言の通り、流出したTPP知財条文には「保護期間大幅延長」「非親告罪化」「法定賠償金の導入」など、重大な制度改変につながる規定が多数盛り込まれている。これらは我が国の国情にあわないとして過去に異論が強かったものであり、急速に導入すれば大規模アーカイブなどデジタル化の進展や日本固有の二次創作文化に悪影響を与え、社会や産業の活力を損ないかねない。

特に、あまりに多くの知財条項を条約上の義務として受けいれてしまえば、今後、ビジネス情勢や国民の多数意見が変わっても、国会ですらそのルールは変更できない点で影響は深刻である。それでは変化が早く柔軟性が生命線と言える昨今の文化・情報産業において、かえって日本の競争力を削ぐ危険がある。

知財条項については各国の対立も依然として根強いとの報道もあるため、日本の方針として、(上記規定を中心に)国内外で反対の強い対象条項の大幅な縮減や修正、各種セーフガードの導入を検討すべきである。

3.他方、既存の作品や各種資料では権利者不明の著作物(オーファンワークス)が極めて高い割合を占めることは世界的な問題となっており、EU・米国・日本のほか、WIPO(世界知的所有権機関)でもデータベース構築が始まる(http://www.nikkei.com/article/DGXNASGC0201Q_U4A510C1MM0000/)など、取り組みが広がっている。

TPP協議においても、アーカイブほか各種の新ビジネスや情報流通を促進するためのオーファン対策の国際協力を、日本から各国に提案することも検討されたい。

TPPの知的財産権と協議の透明化を考えるフォーラム
[ クリエイティブ・コモンズ・ジャパン http://creativecommons.jp/
thinkC(著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラム) http://thinkcopyright.org/
MIAU(一般社団法人インターネットユーザー協会) http://miau.jp/ ]