2013年7月16日、TPP政府対策本部(内閣官房)への意見募集(http://www.cas.go.jp/jp/tpp/tppinfo.html#setsumeikai)に対して、thinkTPPIPとして、下記の通り意見を提出しました。
意見提出期限は7月17日(水)17時で、個人でも誰でも提出可能です。
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1.日本政府は、7月23日よりTPP交渉に参加し、米国との並行協議も8月には開始される予定である。
2.当フォーラムでは従来、提言(http://thinktppip.jp/?p=1)のようにTPP協議の透明化を訴え各種シンポジウムを開催しており、今後も政府が一層の情報開示をおこない、広く社会の知見を交渉に反映することを要望する。
TPPの厳格な秘密協議性には交渉各国においても懸念が強く、米国本国でも議員多数によるオバマ大統領への公開書簡以後も情報アクセスを求める声は依然として大きい。当フォーラムは日本政府に対し、十分な情報公開を各国に提案すると共に、充実した交渉のためにも守秘義務に反しない範囲で国民との課題共有を進めるよう求めて来た。
だが、残念ながらそのような課題共有は、知財分野を中心に全く進んでいない。去る7月9日には日本経済新聞朝刊一面で、「著作権保護期間の大幅延長・刑事罰の非親告罪化・法定賠償金の導入」について政府が交渉前に既に受諾方針を決めた旨すら報じられ、甘利担当大臣が会見で「誤報」と主張する混乱さえ呈している。率直にいえば、社会各層との情報交換を不必要に忌避するから、このような交渉に悪影響を及ぼす混乱が生じるのである。
3.当フォーラムは、TPP自体への是非に意見を述べるものではないし、悪質な海賊版への対策には従前から賛成している。
しかし、前記提言の通り、流出したTPP知財条文には上述の3点など、重大な制度改変につながる規定が多数盛り込まれている。これらは我が国の国情にあわないとして過去に異論が強かったものであり、急速に導入すれば日本の文化ならびに関連する産業の活力を損ないかねない。
特に、あまりに多くの知財条項を条約上の義務として受けいれてしまえば、今後、ビジネス情勢や国民の多数意見が変わっても、国会ですらそのルールは変更できない点で影響は深刻である。それでは変化が早く柔軟性が生命線と言える昨今の文化・情報産業において、かえって日本の競争力を削ぐ危険がある。
知財条項については各国の対立も依然として根強く、米国が孤立気味との報道もあるため、日本の交渉方針として、知財条項をTPP協議の対象外とする、もしくは(上記規定を中心に)対象条項を大幅に縮減することも検討すべきである。
いわゆるISD条項についても、我が国知財政策に重大な影響を与える可能性があるため、慎重な検討を要望する。
4.他方、既存の作品や各種資料では権利者不明の著作物(オーファンワークス)が極めて高い割合を占めることは世界的な問題となっており、EUでは昨年、大胆なオーファン活用のための新ルールが採用された(http://current.ndl.go.jp/node/21884)。
TPP協議においても、各種の新ビジネスや情報流通を促進するためのオーファンワークス対策の国際協力を、日本から各国に提案することも検討されたい。
TPPの知的財産権と協議の透明化を考えるフォーラム
[クリエイティブ・コモンズ・ジャパン http://creativecommons.jp/
thinkC(著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラム) http://thinkcopyright.org/
MIAU(一般社団法人インターネットユーザー協会) http://miau.jp/]